雨の町

雨の町 デラックス版


菊地秀行の短編が原作の映画。
ひどゆき先生の作品を映画に、といえば、「妖獣都市 香港魔界篇」なんてのがあるんだが、これが人間の男と妖魔の女のベッドシーンしか観るべき点が無い酷い映画で、しかしながらそのシーンが実に素晴らしいものであったりするのだ。
何故か女妖魔がピンボール台に化け、男はそれで遊ぶ。傍から見るとただ男がゲームしてるだけなんだけど、台詞が「どうだここがいいのか」的なことだったり、女は女でピンボール台の点数が表示されるところから顔が出てて、あふんあふんと喘いでいるという、なんというかカオス。
全然この作品とは関係無いけど。


数十年前に集団神隠しに遭った子供達が、時を経て当時のままの姿で帰ってくる。
見た目はそのままだが中身が変質し、化け物のように牙を剥き出し人を襲うので、泣く泣く親が殺したり、それでも自分の子だからと諦め殺されたり。
ひどゆき先生お得意の、「こちら側」と「向こう側」の攻防。長編の時との違いは、それを解決する超人的ヒーローが出てこないところ。
原作と比べると、設定は同じものの別物語。
静かな怖さ、という意味では同じかも。


タイトルの「雨の町」が最初だけだったり、主演の男女が子役以下の演技力だったり、折角の静かな雰囲気がビックリ攻撃によって台無しになったり、終盤の展開がどこにテーマを持って行きたいのか分からないものだったり(正直、ごんぎつねは如何なものかと)、色々と勿体無い部分はあるが、最近の邦画ホラーの中では傑作の部類に入るんじゃなかろうか。脇役の人達は誰もが名演技だし。
派手な怖さは全く無いが、じわりと来るホラー。


よくあるパターンながら、ひどゆき先生本人が作家らしき役で登場。
どころか、弟でミュージシャンでもある菊地成孔までもが登場。更にエンディング曲担当。