田園に死す

田園に死す [DVD]


寺山修司のアレ。
1本の物語としては酷いものだけど、1シーン1シーンの映像美が素敵な映画。いかにもアートシアターギルドっぽい、のかな。知らないけど。
江戸川乱歩のような妖しい雰囲気を含みつつ、内面というか精神面というか、エヴァみたいな訳の分からなさもあって、このノリを30年以上前にやったのが凄いと思う。
観ててどうにも胸の辺りがもやもやしてくるのは、シュヴァンクマイエルに近いものがあるかもしれない。作品としては全然別物なんだが。


安産と書かれた布を巻かれた子犬を連れた、父無し子を身篭った長襦袢の女に興奮したり、川を行く流し雛が五段雛で爆笑したり、壊れて鳴り続ける柱時計の音が鳴りすぎてその内無くなってしまうという表現に感心したり、赤い襤褸切れ1枚で暗黒舞踏を踊る女の尻だけを目で追っちゃったり、顔に白粉塗ってるのはまだしも、何故お母さんだけ灰色なのか悩んでみたり、空気女が如何なるものかやっと分かって安心したり(つまり暴れん坊将軍に出てくる女将さんなのだ)、古い映画なのに八千草薫にさっぱり変化がなくて驚いたり、あんまりな終わり方に激怒してみたり。
色々得るものは多かった。
白粉を塗った顔という表現は面白いとは思うんだが、気を抜くとすぐ志村に見えちゃうのが難点だ。