幽剣抄 / 菊地秀行

幽剣抄


初の本格的時代小説。
でもホラー風味でそこは安心。


ひどゆき先生曰く、売れ線を無視して完全に趣味で書いたらしいが、これからも是非趣味で書いて下さい、というぐらい面白い。
これまでも何冊か時代小説は出てて、でも頭に「伝奇」と付いた、所謂超人怪人絶世の美男子等、毎度お馴染みのパターンだったんだが、今回はそういう超常的強さは無しで、怪異幽霊も味付け程度で、侍の生き様的なものがメイン。
辻斬りで殺された無念の娘が浪人の家に仇を取ってくれと化けて出て、仇を取ってくれるまではと居座って世話をして、浪人の母親と幽霊と、いつの間にやら嫁姑問題になっちゃったりする辺りは、実にひどゆき先生らしくて楽しい。