魔法医師ニコラ / Guy Boothby・菊地秀行 訳

魔法医師ニコラ


100年以上前の、東洋ピカレスク小説の原点といわれる作品を、ひどゆき先生が翻訳したもの。
変装の名人である主人公が、催眠術を使ったりする妖しい男ニコラに雇われ、不老不死の秘術を求めてチベットの山奥にある秘密結社に忍び込む、という冒険譚。
原文を読んだわけじゃないから、どれぐらい元と違いがあるのか分からないが、古さを感じさせない作りで楽しい。確かに直球勝負な王道展開で、その辺は昔の作品っぽいのかもしれないが、普段から○○の原点なんていわれる作品なんて読まないから、逆に新鮮だったり。ひどゆき先生が翻訳してなかったら死ぬまで読まなかっただろうし。


読み終わり、この作品をこそ映画化すべきなんじゃないかと思ったけど、変装しっぱなしで旅する話なので、有名ハリウッドスターを使ったとしても全然登場シーンが無く、画面に映るのは東洋人ばかりになって駄目かと思い直したり。
いや、逆にこれはあの○○が××と夢の競演!とか大々的に宣伝して、いざ蓋を開けてみたら最初と最後にちょろっとしか出てこない、出演者に釣られた人には詐欺的な、低予算映画を生み出すチャンスとならないだろうか。