砲艦銀鼠号 / 椎名誠

砲艦銀鼠号


それでも結構楽しく読んだのだ、という前提で。


前作の「武装島田倉庫」や、「水域」「アド・バード」など、シーナの超常SFは、独特の世界観が素敵。
なにか大きな戦争があった後の、崩壊した近未来。あやしい造語で表現される、変な土地や変な生き物。その中を生きる人々の話は、殺伐としつつも生き生きとしてて、読んでるとなんとも云えない不安感とわくわく感が入り乱れ。


それらが一気に薄くなって控えめになって、ちょっと不満。
「魚乱 魚歯」と書いて「かみつきうお」はー?
実在する地名も出しちゃうし、一番の楽しみだった造語で楽しめなかったのが残念。
話自体も不思議の少ない海洋冒険物であったが、最後の章だけは完全に超常小説になってて、これだ!と思った。けどすぐ巻末。


終わりのページから先の話こそ読みたいものだ。