幽霊花 『弟切草』異聞 上・下 / 長坂秀佳

幽霊花〈上〉―『弟切草』異聞 (角川ホラー文庫) 幽霊花〈下〉―『弟切草』異聞 (角川ホラー文庫)


弟切草」「彼岸花」「宿生木」が縦の三部作で、「彼岸花」「死人花」「幽霊花」が横の三部作で十字のようになっている、というのは面白い。
縦方向はとても面白く読めた。多少粗はあったけど、それほど気にするものでもなく。
横方向は悲惨だなぁ。横=ちょっと話を変えただけ、なのが。


弟切草」の主人公が自身の物語の後、「彼岸花」または「死人花」の人物達と会って、「彼岸花」または「死人花」の物語を踏むお話。
序盤と終盤以外は、もう2度も読んだ話なのだ。
じゃあこの本を初めに読めば、ってもこれまでの作品を読んでないと意味が分からない部分が結構あるのだ。
原作のサウンドノベルなら、自分が選んだ選択肢の積み重ね結果によるものだから、で済みそうだけど、1本道でこれは、ちょっと。
まえがきで「犯人は誰か?」を当てろと云い、あとがきで「無理でしょうけど」と喧嘩を売るも、これまでの作品と上巻を途中まで読めば誰でも解ける仕様。


部分的には面白かったりしたけど、全体を通して嫌だなあと思ったのが、現実世界で大コケしたゲーム版「彼岸花」の擁護と私怨な文章だった事。これは酷い。今回の物語と全然関係無いじゃん。
因みにそのゲーム版、文章は兎も角、インターフェイス等システム面が酷いもので耐え切れず、1980円で買って即売ったら4000円になったという思い出しかありません。