三国志 一の巻 天狼の星 / 北方謙三

三国志 (1の巻) (ハルキ文庫―時代小説文庫)
黄巾の乱から孫堅の死まで。


北方謙三の本を読むのは初めて。
今までは「悩み事があるとすぐ風俗へ行く人」と云うイメージしかなかった。
これがなかなか、漢の話ではないですか。


劉備三兄弟:民を味方に付けるために「義の人」を演じるキレキャラ。上に立つ人間がすぐキレるのは良くないからって事で、代わりに張飛にキレさせる関羽張飛は本来気が優しくて力持ち。劉備に構ってもらえないと拗ねて泣いちゃったり。


曹操:宦官の家系である事に異常にコンプレックスを持つ小男。袁紹にも負い目を感じてたり。


孫堅:出世至上主義のがめつい人。能力のある人間を見付けると、自分が先に行く為に袖の下も簡単に使います。


いや、今まで読んできたどの三国志とも違う素敵設定。
この魏呉蜀の3人と、その時期の時の人達を主役に話が進んでいく感じ。
袁紹は悪い事はみんな他人の所為にして精神安定を求める人。
呂布は、前田慶次の威風堂々さと岡田以蔵の暗黒面を混ぜたような、ダークヒーロー。この設定で呂布を主役にシリーズ化して欲しいものだ。
王允による連環の計は、貂蝉を使うんじゃなくて、田舎生まれの呂布の妻(不美人)が都に来て美人ばかりで動揺してる所に付け込むと云う、いやらしい技。


もう萌え萌え。