OTESANEK

オテサーネク [DVD]


うーん。呪怨の10倍は怖かった。
いや怖いと云うか、気味が悪いと云うか、怖気がする。


ヤン・シュヴァンクマイエル監督の作品。アリス(ASIN:B00005HK7Z)が有名ですね。ちゅかアリスしか知りません。チェコのアート・アニメーションの巨匠だそうで。
アリスの方は今まで何度も観たんですが、あの独特のじわーっとした雰囲気は何とも云えず、癖になります。
この作品が最新作だそうですが、その独特の空間は変わらず健在。悪い云い方すれば進歩が無いとか何とかゴニョゴニョ。


子宝に恵まれない夫婦。くされてる妻の気を和らげる為に、人間の形をした木の根っこを、冗談で赤ちゃんだよー、と妻に見せるもノイローゼ気味の妻には本当の赤ちゃんにしか見えず......。
元々チェコに「オテサーネク」と云う何でも食べる木の根から生まれた怪物の童話があるらしく(と云う設定か?)、その童話と全く同じ怪物が、と云うお話。
話自体は杜撰なところも多々あるが、本当に雰囲気に呑まれて気にならなくなる。木の根を育てる妻の鬼気迫るおぞましさとか、怖いよ。結構美人なのが特に。
猫どころか人間まで食べ出して、襲われた人の内臓がビチャッとガラスに張り付くのを見ても、「あの子は私達の子なのよ!」と、始末に負えなくて殺そうとする夫にすがり付く姿は、ああ、母は偉大なのだなと思うばかり......な訳もなく、うわー、こわー、とビビッってましたよ。
結局怪物は捨てられ、一部始終を見ていた隣の家の子供に育てられるんだが、またその子供の考え方がぶっ壊れていて怖いのなんの。
背筋に寒気が、と云う怖さではなく、胸がムカムカしてくる怖さでした。


アリスの時もだけど、この監督って妙に口元にこだわるよなあ。特に食事とか。
あんまし綺麗な表現じゃないから、食欲が減退するんだけど、つい釘付けになっちゃう、みたいな。
ペドフィリアのじいさんが、老眼鏡を掛けた途端、ニマーッと変質者の顔になるのが面白かった。
チェコの女性はおばさんになると妙に日本人っぽい顔になるので親しみ易かった。
以上、面白いんだけどグッタリ。