グイン・サーガ 97 ノスフェラスへの道 / 栗本薫

ノスフェラスへの道―グイン・サーガ〈97〉 (ハヤカワ文庫JA)


漫画や小説などの創作で良く聞く話。登場人物達が作者の手を離れ、勝手に動き出す。
確かにそんな事書いてある作品は面白い事が多い。キャラがのびのびとしてる。
この作者も、前にあとがきで動いたとかそんな事を云っていたような。巻数多くて記憶が曖昧。でも一時期、グインやイシュト達が本当に生き生きとしていたのは間違いない。
ところが50巻辺りぐらいから、怪しい気配。
元気一杯だった人物達を神の手で洗脳。作者が異常なまでに偏愛しているナリスと云うキャラの引き立て役に成り下がらせる。ナリスが超重要キャラなんだったら分からなくもないが、中途半端な雑魚キャラだってのが、この不気味な変化に拍車を掛ける。物語的にも、ラスボス役の竜王が頭角を現し始め、暗くどんよりした話に突入。
ナリスは拷問を受け手足が不自由になりベッド生活に。益々増す作者の偏愛。「わたしの体が自由だったら、あんな事もこんな事もしたいのに」と云う愚痴がメインで、その合間に少しずつ物語が進んでいくのが何十巻も続く。そもそも拷問を受けたのだって、自分とこの王様が何者かに操られてるのに気付いてたのを、防げるだけの力を持ちながら何の対処もせずに見てただけなのが原因なのに、悲劇の人づら。
見事に話が進まず、何だこれ? と思ってたところでの、作者の100巻じゃ終わりません宣言。頭悪いのか。
最近やっとナリスが死んで、これで他の人物達の洗脳も外れて話はどんどん進むのか、と思ってたら、「ナリス様はこんなに素敵な方だった」とみんなで延々嘆き悲しむだけ。やっぱり進まないストーリー。しかも設定を無視した無理矢理な洗脳だったためか、ほぼ全員が以前とは全くの別人性格に。凄く嫌な性格に変わってしまい、このキャラが好きとは云えない状態。このまま竜王に皆殺しにされれば世界に平和が訪れるんじゃないだろうか。


長々としてしまいましたが、そんな変なところが壮大な物語ももう97巻ですな。
今回はマリウスとオクタヴィアの離婚話で愚痴が延々続き、やっと最後でグイン捜索隊が出陣。やっぱり話進める気無いじゃん。
で、我らが最強豹頭王グインは何故か自分探しの旅に出ようとする、もう見てられない人に。
作者チェンジ希望。