金縛り2

唐突に書きたくなる心霊体験話ー。
PCが壊れた件を読んだ友人に、お前の部屋の家電が矢鱈と壊れるのはそう云うモノの所為だと云われる始末ー。まあビビリだった心を鍛えてくれた勉強代だと思えば安いもの......には思えんわいこの野郎。
いつも通り長いのです。



今は定期的に金縛りになるので、ウザイと思うだけで怖いと思わず慣れっこなんですが、なるようになった高校生の頃は毎回が恐怖の嵐でした。そんな時の話。
その日、夕方頃学校から帰宅し、CDを音量を絞って流しながら、自室のベッドで仰向けになりながらウトウトしてました。
金縛りになる時は毎度同じで、あ、嫌な気分がするな、胸が苦しいな、手足の先が痺れるな、耳の奥がキーンとする、ああ、嫌だな嫌だな、と思ってると突然全く身動きが取れなくなるんですが、その時もそんな感じで。
今なら適当に、まだ寝たいから早く治れーと思ってるだけですが、その時はパニック。必死に体を動かそうとするも動かず、半泣きでそれでも何とか動かそうと努力してました。その時急に浮遊感が。どうもどんどん天井が近くなってくる。
ベッドの左端が壁だったんですが、そこにオーケンのポスターを貼ってたんですよ。「牛丼おいしいよ?」とか云って特攻服着たオーケンがドンブリを構えてる吉野家の。昔そんなしょーもないのがあったんですよ。位置としては、ベッドの上に立って、オーケンの顔が肩の辺りに来るぐらいの高さ。
浮遊感の中、目だけを動かして左を見ると、真横にオーケンの顔が来てるんですよ。混乱状態の頭でも、これは何やら非常に不味いぞ、と思い、だからと云って何もしようがないので目をぎゅっと瞑って耐えてました。
時間にすると数十秒か、良く分かりませんでしたが、ふと体が軽くなり、そっと目を開けるといつもの風景。普通にベッドに寝てて体も動かせます。何が何だか分からんが取り合えず助かった、と思った瞬間、再び金縛りに。
今度は浮いた感じはなかったものの、突然、微かに聞こえる程度だったCDが凄い音量で耳に響いてきます。頭が割れそうになり、訳も分からないまま再び力一杯目を瞑り耐えていると、音楽以外にも、サイレンの音だったり、ベルの音だったり、工事現場の破砕機の音だったり、色々な騒音が頭に直接響く感じで鳴り始めました。色んな音が凄いボリュームで渦巻いた状態。
もう怖くて怖くて仕方なく、かと云って下の階に要る祖父母に助けを呼ぼうとしても声が出ず、ひたすら心の中で「助けて助けて」と念仏の様に唱えていたところ、突然その騒音の中に、「○○君...」と下の名前で自分を呼ぶ女の子の声が聞こえました。どうしてそう思ったか、そう答えたかは分かりませんが、救いの手に思えたので、「はい!ここだよ!ここに要るよ!」と念じると、フェードアウトするかの如く騒音が引き、それと同時に体の感覚が戻り動かせるようになりました。
その後は何もなく、段々と落ち着いてきて、脂汗凄いなと思いながら夕日の入り始めた部屋で呆然としていたんですが、別にCDは微かに聞こえる程度の音量のままで、音自体、頭の中でしか聞こえなかった様で、騒ぎを聞きつけて祖父母が部屋に来る事もなかったのでした。最後に聞こえたあの声は何だったんだろう、可愛い声だったなー、と思う余裕が出て来たところで、今この部屋に居るのは怖いと思い階下に行きましたが。
それから暫く夜寝るのが怖くて寝不足になり、授業中寝てばかりだったのでした。

今思い出すとこの話で一番怖いと思うのが、話では触れてませんが、流してたCDが尾崎豊な事ですな。
怖い怖い。
お化けだ霊だと騒ぐのも面白いですが、思春期の脳も疑うべきだな、と思う現在。